発電機のキャブレターを分解清掃


発電機のアイドリング不調を修理   2006.1.29

しばらく友人に貸していた発電機。戻ってきたらエンジンはかかるが、オートアイドルにするとアイドリング回転数が安定せずハンチングをする。どうもおかしい。たしかオートアイドル時には回転数は下がるが、ハンチングするなど不調は無かったはず。
定期点検も兼ねて、各部を分解清掃しました。

マキタ電機製作所(現マキタ)発電機 G2300H
定価169,000円
中古で45,000円で何年か前に購入
オートアイドル機構が付いており無負荷時にはエンジン回転数が自動的に下がり、少し静かになる。
100V2.3kVAの定格出力
乾燥重量45kg、満タン10Lでの運転時間6.4h

スズキ発電機SV2300と一緒だと思う。
新ダイワ EGS21もキャブ回りはこれと似ている。

1.5DIESELのシールが貼ってあるが、これは洒落であり、ガソリンエンジンである。
ついでに申しますと、2T-GEUシールが貼ってあるがこれも洒落である。画像の盗用をするとすぐにわかるようにしてある。

まずはキャブレターを取り外しましょう。
燃料コックをOFFにし、エアクリーナーカバーをとめている蝶ねじを外します。
エアクリーナーが顔を出します。
ブラケットごと取り外します
エアクリーナーはだいぶボロボロになっていましたので、マックスバリュースーパーセンターーで取り寄せました。
この発電機はやっぱりSUZUKI SV2300のOEM版だったようです。スズキの純正部品13781-90920が供給されています。
購入価格価格870円  高いですね。
ダイダイ色の現品票を剥がすと、マキタの識別票があります。
マキタ品番はSZ00000311、品名フィルタ13781-90920

次回交換部品を頼むときは、SUZUKIの販売店で頼んでみよう。少し安いかも
バイク用品店で購入できるもよう。2024-4-27追記
webikeで取り扱いがある。
交換部品参考url
http://www.ken-room.mydns.jp/generator.html
エアクリーナーハウジングをキャブに固定している上部のナット2つと下部のボルト2本を外します。

使用工具ソケットレンチ二面幅10
ようやくキャブにたどり着けました

チョークバルブの周りが非常に汚いがこれが不調の原因ではない。 あとで分かったことですが、チョークバルブの汚れはブローバイガス還元によるもので、汚い場合は、エンジンオイルもゴテゴテになっていると判断してよい。
< 次にフロート室を外します。
下側に固定ボルトがあるのでこれを外します。
緩めると、内部にたまっているガソリンがこぼれてきますので注意しましょう

使用工具ストレートメガネレンチ二面幅14
4年程前に一度掃除したんですけど フロート室の底はこんな具合で垢がこびりついています。
ここも後で掃除しておきましょう
燃料ホースを外すためにホースクリップをプライヤーでつまんでキャブ側(下方)にずらします。
ホースをくりくりして抜きます。
スロットルリンケージを外します
キャブをフロート室側から見たところです。
中央にあるのがメインジェットで、ここが詰まっていると燃料が供給されずエンジンがかかりません
詰まってはいないようですが、外して掃除します。 メインジェットはマイナスドライバーで外します。奥まったところにありますが手持ちのマイナスドライバーでも干渉せずに外すことができました。

メインジェットを掃除するには、荷札の針金がよいでしょう。
ここは詰まっていなかったのですんなり通りました。

これはパイロットエアブリードです
アイドリング時の混合気を作る部品でパイロットジェットとエマルジョンチューブが一体になったものです。

参考:メインエアブリードはメインジェットのさらに奥にあります。
エアジェット側から荷札の針金を突っ込んで詰まっていないか確認
パイロットエアブリード(パイロットジェット)の穴まで貫通しています。

この他にもパイロットアジャスティングスクリューの穴やその奥にあるバイパスポート(スロットルバルブを開いた時に一時的に混合気を送る穴)も詰まっていないか確認しましょう。
ここまで分解掃除して、大丈夫だろうと一度組んでみました。
オートアイドルスイッチ

右に倒すと通常運転、左に倒すと無負荷時はスロットルバルブを閉じて、回転数が下がり、負荷(たとえばランプ)をONにすると回転数が上がる。
エンジンをかけて、オートアイドルをONにしたところ回転は下がるがハンチングします。
直っていません。
オートアイドルをONにすると、ソレノイドでスロットルリンケージを引くことによりスロットルバルブを閉じてアイドリング状態になる仕組み。このときの回転数調整はアイドル(パイロット)アジャスティングスクリューで行うが、これを左回しに緩めて開いても回転数が上がらず安定しない。

これってひょっとしてパイロットジェットが詰まっていて、アイドリング時にアイドルアジャスティングスクリューの先の穴から混合気が出てないのかなあと思い、一度パイロットエアブリードを外して、その穴を指で塞いでみた。
組んだ状態では、マイナスドライバーが入らないので、SSTを自作しパイロットエアブリードを外す。

この穴を指でふさいで、アイドルアジャスティングスクリューが効くようになった。 ゆえにパイロットジェットが詰まっていて、アイドル時の混合気がここを通っていなかったわけだ。
荷札では約2mmぐらい突っ込めたので、詰まっていないと思っていたが φ0.32 錫めっき線でぐりぐりやったら、貫通しました。
掃除して組み付けたところ、アイドリングも安定しました。
実際にエキゾーストノートを聞いてみましょう。155kB 39秒
オートアイドルをONにすると回転数が下がり、静かになる
各部の調整ポイントなど
発電機のスロットル制御は、車とはちょっと異なる。
動きを見ると分かるが、エンジンをかける前はスロットルバルブは全開である。エンジンがかかると、出力電圧・周波数によりフィードバックを行い、電圧が高いとスロットルを少し閉じようとする。そこで回転が落ちて電圧が下がると、スロットルを開く方向に戻しこれの繰り返しである。実際にはガバナーで制御している。
スロー調整(アイドル)はまずスロットルをどこまで閉じるか(エンジンの回転が止まらない程度のところに)スロットルストップスクリューで設定し、パイロットアジャスティングスクリューを緩めてアイドル時の混合気を調整し、アイドル回転数が少し上がりこれ以上左へ回しても、回転数の変化が無いところあたりに調整する。 回転が上がりすぎたならば、スロットルストップスクリューを緩めて回転数を下げます。

オートアイドルOFF時には、スロットルストップスクリューに当たらないところでスロットル制御をする。

オートアイドルが無いホンダのDENTAなどはハンチングすると、スロットルストップスクリューを回して回転数を上げて、まあ良しとしている場合があるが、パイロットアジャスティングスクリューを回しても回転数変化が無い場合はパイロットエアブリード(パイロットジェット)が詰まっていないか確認しましょう。
ちょっと一言
フロート室ドレインねじをこの位置に持ってくると、エアクリーナーを外さなくてもねじにアクセスできます。 フロート室を組むときはよーく考えて組みましょう。
発々のキャブレターの構造はどれもほぼ同じ構造であり、その構造は3級整備士の参考書に書かれているイラストを参考にすると理解できる。
マキタG2300Hのキャブのオーバーホール記事であるが、ホンダDENTAも同様に整備できるであろう。

ガソリンは腐ります。使わないときには、キャブレターの燃料をドレインから排出しておきましょう。


50Hzへの切り替え

周波数の切り替え
ガバナースプリングを引っ張る強さを可変すべく、切り替えレバーがついていますので これを動かして行います。
50Hzに切り替えるとエンジン回転数が下がる。
50Hz、60Hzそれぞれプリセットねじがあります。親切設計である


スパークプラグ点検

プラグを外すのには、プラグレンチが必要です。付属工具が無い場合20.8mmのレンチで外せます。

I use KTC B25P-20.8H \2550

外してみたところ、くすっぶっていました。燃料が濃いようです。
NGK BPR6ES(町ではあまり見かけない) 標準価格\450
調査したところポルシェ944にも採用されているようです

火花スキマ調整値は0.7-0.8mmのようです

日本電装ならW20EPR-U プロジェクト突き出し1.5mmになりますが、なぜかDENSO対照表ではこの機種はW16EPR-U(NGKでいう熱価5)になっている。

グリーンプラグ(中心電極がVカットされている)BPR6EYならイエローハットでも売っていたよ。\390 ちなみに定価は\450

NGKプラグ品番の見方


オイル交換

オイルは定期交換が必要です。
オイル量を点検したところ、量はOKでしたが黒かったので交換しました。

オイルを抜くには、下駄をはかせるとよいでしょう。
ドレンボルトは、ソケットレンチ12mmを使い外します。銅ガスケットが付いていますので落下に注意しましょう。
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